2021/6/28 日記

湿気がひどい。朝めちゃくちゃ暑かったけど、夕方出てみたら「蒸し」の主張が強かっただけでそんなに熱くなかった。

「蒸し」といえば、蒸しパンである。体調が悪いとき家に食べるものがなくてスーパーに行き買うパン選手権の1位だ。軽いながらもしっとりと油を吸った触感と、ちぎったときの断面の柔らかさにいつも魔法をかけられていた。あのなんか黄色いのも見るからに嘘っぽくていい。優しさっぽく見せている。一個食べると油で胃もたれになり気持ち悪くなっていたが、他のものは選べなかった。

 8年前合宿に行った奥多摩の小さな売店で、七色の蒸しパンを見たことがある。それは片手に収まるくらいの大きさで、縦割りに虹の7色が配置されていた。色は子供用のカラフル粘土のようで、パッケージには目立つシックな斜体で「蒸しパン」と書かれていた。パッケージのセンスと蒸しパンの色は全く調和しておらず、一周回って今っぽい風を醸し出していた。製造元には地元の工場が記載されている。人が来ないせいか陳列棚に補充されずおにぎりやパンが並んでいるうちに蒸しパンはここにいる!と強く主張している。一緒にアイスを買いに来ていた友人と眺めたり成分表を確認したり一通り騒いだあと、結局買わずに合宿所へ戻った。あの蒸しパンはあの場所で今でも売られているのだろうか。